立川志ら玉の現場主義日記

-志ら玉ブログ- 落語家・立川志ら玉の何も事件が起こらない日々

6月28日のらく里

午後起床。

一日ラジオを聞いたり、テレビを見たり、ネットで動画を見たりして過ごす。
ダラダラ。

明け方、寝床で読書。
洋泉社のムック本「激動!アイドル10年史」読み終える。
資料として当分活用しそうな一冊。
最近の風潮では売れセン狙ってAKB関連記述多くしがちだが、そうでないところが「10年史」として正しい認識と良心だと思う。
勿論AKB48についても最初期から触れられているし、Bon-Bon BlancotoutouSweetSなどの記述がきちんとあるのはジャンル、そして先人に対するリスペクトを感じ嬉しくなる。

基本良い記事多いのだが、なかでも特に良かったのは下記の通り。
ページ順に挙げるので、既に読んだ方はもう一度確認しながら楽しんで、まだお持ちで無い方は購入の参考にして頂きたい。

P.55 ・吉田豪 談 「Negicco
まず03年の特殊な出会い方・認識の仕方から始まり、「大人の事情」で「裏切りを何度も体験している」彼女達が「すっかり大人不信になっている」現状説明。
「好きなアイドルはたくさんいるけど、応援できるアイドルは限られてくる」なかで彼女達を応援する理由・心情について語られている。
これを読んでNegiccoを応援したくならない奴は人非人だ!

P.58・杉作J太郎 談 「ハロプロ道私的十四年史」
J太郎氏の嵌り方の進度と深度が読み物としてまず笑える。
またハロプロ内での時代的な「愛」の移り変わりがまるで大河ドラマのようだ。

P.69・宗像明将 文 「Chu!☆Lips
まずChu!☆Lipsにきちんと章を割いているだけで(1ページのみとはいえ)私は本書を全面肯定する。
冒頭から
「アイドルについて論じる人間が実際にアイドルに対してどれほどの見識を持っているかなど、すぐに見抜くことができる。
それはChu!☆Lipsの真価を見定められるか、それだけだ。」
という過激な論調!
彼女達が、わずか数年前までの東京地下アイドルシーンを支えた当事者であり、現在のももクロ的な過剰なエンターテインメント志向を初期から体現していた、と指摘。
また彼女達の楽曲ほとんどを作詞作曲した山本重夫氏の功績にもきちんと触れている。
そしてあの解散ライブの模様も。
私はたまたま縁あって彼女達の解散ライブを現場で見届けられたので、Chu!☆Lipsの素晴らしさを長い歴史のなかのほんの少しだけだが(現場では二度しか見ていないので)知ったつもりだ。
もっと前から存在を知りたかった、応援したかったと思ったのが最後というのも辛かった。
それをきちんと彼女達の足跡からラストまで取り上げて、評価してくれたのが嬉しくて、読み返しては何度も泣いてしまった。

P.126・ロマン優光 文 「ぱすぽ☆
ロマン優光氏のアイドルに関する文章は、そのキャラ・風貌とは異なり、丁寧な文体で読みやすく、優しさと愛情を感じるが、といってベタベタしたものでは全くなく、冷静な分析と感覚で書かれている。
特にぱすぽ☆メンバー全員の魅力に一言ずつ触れている記述は良い。
読者に向けて語ってはいるが、現場で見た想いからくるメンバーそれぞれに向けた応援メッセージにもなっている。
離脱したメンバー「むっしゅの今後の芸能活動が幸せなものでありますように」という締めも泣かせる。

P.132・せきしろ 文 「スマイレージ
詩的・情緒的な文体で思いが綴られる。
メンバー卒業から新生スマイレージになった過程にはグッとくる。

P.152・宗像明将 文 「アイドル50年、戦国時代は本当にあったのか?」
アイドル界の現状分析はここに書かれた認識でほぼ言い表されていると思う。
「『アイドル戦国時代』という言葉が、その前後の歴史を歪め、実態以上の妙な幻影を現状において見せてはいないか」とまとめている。
うんうん。

P.156・ロマン優光 文 「スターダストアイドル2012」
スターダストとあるが、主に私立恵比寿中学について書かれている。
ここでも先程のぱすぽ☆同様、メンバー一人一人の魅力を愛情と尊敬を持って記述。
彼は、エビ中のある特定メンバー推しというのはよく知られているが、そんな偏りが微塵もない姿勢を貫いているところが書き手として信頼出来る。
そもそも、一般ヲタと同じように行列に並んだり、観覧しているロマン優光氏を現場で何度も見ているので信用はしているが。

P.204・「ドルヲタ対談 掟ポルシェ×吉田豪
軽い感じの笑える対談なのだが、その実中身は示唆に富んでいる。
地方アイドル・DD化の推進・ロリ問題・楽曲派と接触派等々。
特に握手会について、「高校生にとっての安上がりなキャバクラみたいになっちゃったら」という懸念は、正にその通りになりつつあるのではないだろうか。

最後に。
「10年史」という観点の本書で、かなり重要な役割を担っているBerryz工房の各メンバーインタビューが、かなり面白いということを追記しておきたい。

AM5時に寝る。