3月26日。部長・倉庫の二階席亭氏と恵比寿で待ち合わせ。
恵比寿ガーデンシネマにウディ・アレンの新作映画を鑑賞しに行く。
私には、ウディ・アレンといえば恵比寿ガーデンシネマ、恵比寿ガーデンシネマといえばウディ・アレンというくらいのイメージだ。
ここ数作はたまたまウディ・アレン作品が全国公開されたりしていたが、それ以外はほとんどここでの単館上映。
その為恵比寿に毎年見に来ていた。
というかウディ・アレン以外をここに見に来たことないからそういうイメージなのか…。
そもそも恵比寿に普段行かない。
「ウディ・アレンの夢と犯罪」。
新作といったが日本公開の意で、制作は2007年。
「マッチポイント」「タロットカード殺人事件」とロンドン三部作という扱いだが日本での公開順は三部続いていない。
ウディ・アレン作品を「三部作」という括りで扱うことに私はなんか違和感がある。
確かにロケ場所は一応同じロンドン。そういう点では単純に括れるが、ウディ・アレン作品はたった三部で括れない全ての連続性があるからだ。
この「三部作」というとらえ方、ウディ・アレン本人のコメントを聞きたいものである。
また、「ウディ・アレンの」という邦題の付け方が大いに不満。
仮にアメリカで「黒澤明の姿三四郎」とか「小津安二郎の晩春」とかだったら嫌でしょ!
しかし「ウディ・アレンの」という邦題を5、6作つけられてしまうのがウディ・アレンの現実なのであった…。
やはりコメディアン出身、コメディベースの作品多いので軽んじられているのか。悲しい。
内容は、「マッチポイント」を思わせるストーリー。
ただ「マッチポイント」は上流階級、こちらは労働者階級。
落語「黄金餅」その後という印象を持つ。
「黄金餅」は人の死で得た大金で「餅屋を開いて繁盛したという…」とナレーションで終わるだけだが、その繁盛している店を切り盛りしている男の胸中は…という部分に踏み込む。
チャンスを掴みたいという欲望と恐怖心、成功した安堵と後悔、そして葛藤…等。
傍で見ている成功と本人の心の中は違う。
その点で言えば人殺しをした故神経を病み幽霊を見るという三遊亭円朝作「真景累ヶ淵」に近いか。
ただの怪談噺としてでなく「神経」と「真景」をかけて表現した円朝の洞察力、人間心理の深いとらえ方を本作を通じ再確認す。
ウディ・アレン愛に溢れる私にとっては全ての部分でオールオッケーなのだが、主演女優ヘイリー・アトウェルの魅力がもう少しあればと思ってしまった。
といってもすごく綺麗でいかにもウディ・アレンが好きそうな女優で悪くない。
ここ数作のスカーレット・ヨハンソンがあまりにも魅力的過ぎたからそう感じてしまうのだが。
単館上映なので、恵比寿ガーデンシネマにはわざわざこの作品を見に来たお客さんばかり集まっておりとてもいい雰囲気。
あぁ、早く次のウディ・アレン作品日本公開されないかしら。