立川志ら玉の現場主義日記

-志ら玉ブログ- 落語家・立川志ら玉の何も事件が起こらない日々

「浮世断語」

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河出文庫・三代目三遊亭金馬著「浮世断語」読了。

ここ数年の河出文庫の落語本ラインナップはすごい。
これも再出版されたうちの一冊。

十代後半に初富駅(千葉県)そばの古本屋でつり人社版の本書を発見したが買わなかった。
後々になって「あの時買っておけば…」と大いに悔やんだものだ。
こんな本は何冊もある。古本屋巡りが趣味な人には覚えがあるだろう。
再出版されて本当によかった。
これも落語ブームの恩恵か。

戦前の芸人や寄席のエピソード、芸談、江戸・東京風俗、趣味の釣り話等幅広く書かれていて面白く為になりそして勉強になる。
個人的に興味深いのは戦前の奇芸人・日本太郎について書かれていること。
だれかこの人に関する研究しないかしら。
小沢昭一さんみたいに日本太郎の足跡を訪ねて私が研究したいくらいだ。

本書はエッセーとしても優れている。
釣り帰りの大怪我とその後について書かれた「奇禍」。
愛犬の思い出と薀蓄を綴った「犬」は犬好きにはたまらない。

一番すごいのは表紙の写真だ!
カバーがないと電車で読むのは一苦労だ。
この顔出来るからこそ金馬師は大衆に熱烈に支持されたのだと思う。
なかなかこの顔は出来ないしこの顔にはならない。

また絶版になる前に(笑)一読をお薦めします。