立川志ら玉の現場主義日記

-志ら玉ブログ- 落語家・立川志ら玉の何も事件が起こらない日々

キンキン芸術鑑賞部(下)

この日の締め、三軒目は「シャッツキステ」。
私設図書館という設定は、門外漢の我々にはかなり高度だ。
ここは前記二軒とは対極の正統派進化系という位置づけか。

店構えはひっそりしている。
一見上品な雑貨屋といった感じ。
冷やかしではかなり入りづらいオーラを放つ。
多少酔っていたので何とか入ることが出来た。

店内も地味だ。
数人の男性客。
木製の机と椅子が程よい間隔で並べられ、明るくもなく暗くもなく優しい照明。
本棚には絵本や夢占いの本、革表紙の小説、そしてニーチェ(!)なども見受けられる。
マンガやアニメ雑誌などはあまり目立たない。

メイド服はシックな白黒のロングスカート。
メイドさんもアニメ声じゃない。ごく普通のトーン。
「お帰りなさいませ、ご主人様」とかも言わない。

メイドさんというより普通の女店員じゃないのか?
これでメイド喫茶といえるのか?
と思った瞬間、店内でひっそり編み物を始めた。
普通の女店員なら客前で編み物を始めた瞬間クビだろう。
やはりここは超高度なメイド喫茶だったのだ!

紅茶を飲みながら静かに読書する我々。
しかし気持ちはメイドさんに釘付けで全く内容が入ってこない。
一人で来た客同士がメイドさんのルール説明でボードゲームを始めたりもする。
アニメ的なわざとらしい萌え要素から真逆のリアルメイド萌え。
うーむ奥が深い。

プロレス界で例えるならば、FMWから始まったデスマッチ路線がWINGや大日本とどんどん過激化していったように、メイド喫茶も戦国カフェや声優ガールズバー的な方向に進んでいった。
一方、格闘技的リアルを求めたUWFがさらにショー的要素を排除、見せ場もなく秒殺するパンクラスに行き着いたように、リアルメイドへの指向性も進んでいった。
同じプロレスでありながらまったく別のものが存在している状態にメイド喫茶も置かれているようだ。
ただそうなっていったプロレス界は急速に衰えてしまったが…。
今後メイド喫茶が本当に根付くのか、どこまで進化していくのか注目だ。

その後席亭氏と上野に移動。
カレーをつまみに改めて飲み直す。
二代目日本太郎襲名案で盛り上がる。

おわり。