立川志ら玉の現場主義日記

-志ら玉ブログ- 落語家・立川志ら玉の何も事件が起こらない日々

東京ジョイポリス ももいろクローバーZイベントレポート

6月25日(土)。
東京ジョイポリス

この日、朝8:30からCD予約者に「砂かぶり席」券が配布されるという事前情報。
当初これを得ようと考えたが、配布枚数わからず競争激しそうなので10時の一般開場に並び、なるべくステージ見易そうな場所確保することにする。

9:30到着。
既に大行列。想像以上。

10:00開場。
行列が順序よくどんどん入場。
なんとか吹き抜けの三階、ステージ上手側斜め後方の最前列手すりを確保。
ステージ1/3くらいは見えない場所。もちろん立見だ。

10:30。
既に一階から三階までのステージ取り囲む全方位が二重三重に人で溢れている。
1000人以上いるのでは?
このまま開始の11:30まで皆ひたすら待つ。騒ぐことなく静かに待つ。
日本人の勤勉さがこんなところで垣間見られる。
私の後ろに場所取りしていた若者達の噂話では、始発辺りで既に600人集まっており「砂かぶり席」は即終了だったとのこと。

開始時刻近づくにつれ徐々に観客の熱気高まるのがわかる。
始まる直前、一階の観客ステージにワーッと近づいたのが大波のようになり最前列のフェンス壊れそうな勢いに。
上から見ていて怖かった。
完全に集客キャパ超えている。
何度か注意アナウンス入りイベントスタート。

この日は「ソニック・ザ・しおりん」という副題ついており、まずメンバーによる寸劇w。
80年代の子どもがファミコン欲しいとねだったらお父さんが間違えてセガ買ってきちゃった、みたいな。
我々世代には定番のネタだが平成世代にわかるのか?
最後にソニックセガのキャラクター。東京ジョイポリスセガ経営)に扮したしおりん(玉井詩織)が出てきて大団円…?、みたいな。
いかにも ももクロらしい試み(冒険?)だが、早朝から興奮状態で今か今かと待っていたお客はいきなりのテンションの違いに肩すかし。
戸惑いの空気。

これだけの集客になってしまうと求められるものが違ってくるのは仕様がない。
今までの様に自由にやりたいことを、周知の観客との共犯関係で出来なくなってくる。
落語で例えると、三代目柳好の様に、本人の意志とは無関係に客席からのリクエスト、「がまの油!」「野ざらし!」の声(観客が求めるお馴染みのイメージ)に応えざる得ない状況。
または小円遊の様に、常にキザのキャラクターが求められ本人の意志と大きく乖離してしまう。
売れっ子の宿命ともいえる問題。

しかしこのトンパチ精神こそがももクロらしさともいえるので、失笑しつつ逆にその感じを楽しむ。

ライブ始まるといつも通りの素晴らしいパフォーマンス。
イントロ鳴った瞬間ももクロワールド。

ライブ中何度か鼻の奥がツンとくるような、目頭が熱くなるような瞬間がある。
ももクロライブは舞台の大小関わらず泣けるという文章読んだことがある。
同じように、PV見てついウルウルしたという意見聞いたこともあるが、それがももいろクローバーのパフォーマンスの特徴をよく言い当てている思う。
全力パフォーマンスに感動し、感受性豊かな人や己の経験・思想等がももクロとリンクした人はつい涙がこぼれてしまう。

かつての全日本プロレス中継、三沢対小橋の実況中にアナウンサーが「馬場さんが泣いています!」と叫んだ。
なんと解説者のジャイアント馬場が試合を見て泣いていたのだ(確かに凄い試合だった)。
普段クールな感情見せない馬場が、しかも自分も何十年もやってきた「プロレス」で、しかも自分が社長を務める会社の試合で、さらにテレビ解説の仕事中なのに。
それだけ肉体表現を通して伝わった理屈を超えた感動があったのだ。
ももいろクローバーもそれと同じだ。

今回ライブでの感想としては、舞台を大きく使っていた。
この日の舞台は全然広くないが上手真横の見づらい場所にもお客が入っていた。
通常は皆正面向いて歌い踊る。
だが真横の観客意識し、本来正面向いて歌わなければならないところを上手舞台横ギリギリまで近づきそちらのお客に語りかけるように歌ったり、4人が踊りの決めポーズ正面向いてるのに1人だけ真横にポーズ決めてたりw。
こんなことどう美しく見えるか追求しトレーニングし尽くしたK-POPのグループなら考えられないことだろう。
だがその場のお客を最大限に喜ばせるという点においては、皆が綺麗に揃っているなんてのは実はどうでもいいこと。
私はももクロ的手法を断然支持。
そういう点からも、今流行りのK-POPグループを「アイドル」と括ることに私は違和感を覚える。
 
真横の観客に向けて特にパフォーマンスしていたのが、高城れに佐々木彩夏両氏。
こんなこと指導されてやっている訳じゃない。二人の天性の勘の良さに感服。
その点、有安杏果はずっと真正面意識して一生懸命歌い踊る。
いかにも真面目な性格の彼女らしくて逆にこれも好感持った。

また、ソニックに扮した玉井詩織がかわいかった。
青髪のカツラと付け耳、そして元メンバー早見あかりの青い衣装(!)。
加藤夏希綾波レイコスプレっぽい。
失礼ながら本人イメージカラーの黄色より青の方が似合うのでは。

12:30
熱狂のライブ終了
その後舞台上で握手会行われる。
CD予約者の特典。
シングル二枚で\1000と安めなので参加者多数。
私はこういう握手会といったような接触型イベントが苦手だ。
ただ遠目から見ていたい。その方が楽しい…ってなんかストーカーの意見のようだが。
最近はこの手のイベント無茶苦茶増えた。
平成と昭和のファンの違いなのだろうか。それとも個人気質の差か。

そういう訳なので遠目から握手会しているメンバーを眺める。
握手会鑑賞だ。

この握手会参加者がものすごい人数。
順番に並びステージの5人と流れ作業的に握手するだけなのだが、延々一時間半やってもまだ終わる気配ない。
これは本当だ。
というのも、私は一時間半ずっと三階から見ていたから。
まるで釣りをしている人を半日じっと見ていたという小噺みたいだ。
中にはここぞとばかりに二回も三回も並んでいる奴もいる。

こんな観客飽和状態だと握手会のような参加型イベントや、この日のようなオープンスペースでの無料ライブももうなくなるかもしれない。
当事者の思惑以上での急加速なファン増加率に周囲がついていけてない状態だからだ。

これと似たような経験がある。
私が22、3歳の頃、取手の祭りにモーニング娘。が来るというのでそのイベント見に行ったことがある。
まだ後藤真希が入る前。福田明日香がいたかいなかったかくらいだと思う。
野外スペースでのライブだったが、当初の計画時には考えられないほど大ブレークしており現場大混乱。
ライブ開始数時間前から皆地べたに体育座りで整列させられ、ライブ中に一人でも立ち上がったらその場でライブ中止というアナウンスを何度も聞かされる。
主催側も完全にテンパっていた。
結局誰も立ち上がらずライブ終わったのだが、モー娘。もお茶濁す感じに二、三曲歌ってあっという間にお終い。
逃げるように舞台降りていった。
その日の混乱思い出した。

その握手会見ていて思ったことは、佐々木彩夏のサービス精神。
性格か計算かはわからないが、握手以外にも手振ったり何やらポーズ決めたり色々やる。
しかも楽しそう(内心楽しいかはわからない。普通激しいライブ後に数時間ずーっと握手し続けたら人間辞めたくなると思う。おそらく薄給だし)。
あんなことされたら、お客さんは絶対あーりんのこと好きになっちゃう。
あと、百田夏菜子もニコニコえくぼ出っぱなしでかわいかった。

14:00。
握手会まだ一時間以上は続きそうだったので、私同様握手会眺めている決して少なくはない観客の列から離脱。
今後こんなイベントでもない限りおそらく一生来ることないであろう東京ジョイポリスを後にする。
 
 
東京ジョイポリスソニック・ザ・しおりん」曲目
 
・Z伝説
・D’の純情
・コノウタ
MC
・全力少女
・走れ!
・オレンジノート