立川志ら玉の現場主義日記

-志ら玉ブログ- 落語家・立川志ら玉の何も事件が起こらない日々

コクーン歌舞伎

某日、コクーン歌舞伎「佐倉義民伝」鑑賞。

\9000も払ったので言わせてもらうが、ぶっちゃけつまらなかった。

まず、「夏祭浪花鑑」のように古典ベースでの新演出を期待して行ったが、「原作 佐倉義民伝」のような形で古典の匂いがほとんどなかった。

一例。歌舞伎では子役が感情入れない無機質なトーンで語ったり泣いたりするから逆に悲しいと思うが、テレビの子役さながらに感情たっぷりで語られちゃうと恥ずかしくて臭くて見ていられなかった。
そういうことを取っ払った新作として見ると「佐倉義民伝」に引張られ過ぎて新鮮なテーマ打ち出せていない。
ならその豪華メンバーで普通に「佐倉義民伝」やってくれという話。節がつくだけ情けねぇ。

あと事前の売りの一つであったラップがセコい!
農民の苦労をラップで語らせるというのは別にいい。
ラップを取り入れたことでなく内容。
普通のおじさんがイメージするようないわゆる格好悪いラップ。「本物」はあんなんじゃないと思うが…。
ラップでちょっと失笑起きてたからね。
農民生活の春夏秋冬をラップで語るとこなんて「春、畑耕す、そして、俺達、種まく」みたいなお粗末な歌詞だった。逆に笑わせてもらったが。

この芝居で観客に伝えたいと思っているテーマは、「『佐倉義民伝』の頃の農民一揆と同じように学生運動があったり今の沖縄基地問題があったり大衆の問題としてそれが全てつながってるんだよ」ということでしょ。
知ってるよ!串田和美に言われなくても!
現代人との普遍性や共感あるから歌舞伎とか古典落語みてるんじゃないか。
歌舞伎の佐倉義民伝見て大衆運動連想しないやつの方がおかしいのでは。

良かったのは、殿様(扇雀)と家老(弥十郎)の関係性が現代的な描かれ方で興味深かった。
扇雀の女房(二役)好演。