某日、歌舞伎座夜の部観劇。
いよいよ取り壊しまで九十日を切った。
今月は先代勘三郎二十三回忌追善で当代が座頭。
入場時からお客さんのワクワク感が伝わってくる。
「壺坂霊験記」
演芸ファンには浪花亭綾太郎の浪曲でお馴染み。
盲人・三津五郎とその女房・福助の二人芝居。
前半は徹底的に暗く、リアルな芝居。見ていて救われず暗ーい気持ちになる。
後半突然ファンタジーに。
身投げした二人が観音様のおかげで生き返る。
目が開きお互い喜んで舞踊になるのだが、流石踊りの名手三津五郎。
ミュージカルは感情の発露から唄い踊り出すが、それと同じく喜びの表現としての踊りになっていた。
「高坏」
高下駄を履いた舞踊劇。わかりやすく言うとタップ。
歌舞伎知らない人はこんなのあるのかと驚くものの一つだと思う。歌舞伎の幅。
この日も外国人客いたが喜んでいた。
先代が戦後復活させという事実はチラシのあらすじで初めて知った。
ということは、復活後の演出はMGMミュージカルとかアステア等の影響大きく受けているのだろう。
勘三郎の軽く踊ってる感じが粋。つらい動きだろうが。
最後、太郎冠者の亀蔵にもステップ踏ませるのが面白い。
「籠釣瓶花街酔醒」
講談「吉原百人斬り」が原本。
佐野次郎左衛門の勘三郎、見染めの場はまあ普通。
この場は、つい吉右衛門の名演を思い出してしまう。
吉原で遊び慣れてきてからの佐野・勘三郎はよかった。
こういう色気ある芝居になるとオーラが違う。
田舎の客役の市蔵、亀蔵兄弟が脇役だが良し。
月末に行く昼の部も楽しみだ。