立川志ら玉の現場主義日記

-志ら玉ブログ- 落語家・立川志ら玉の何も事件が起こらない日々

一鶴先生

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9日、亀戸。
昨年末お亡くなりになられた田辺一鶴先生のお別れ会へ。

この日の会場カメリアホールは一鶴先生がご自身の会をやるため事前に借りていたという。
それだけ急な死であった。
なんか先生ご自身で開いた最期の独演会のようだ。


先生とは何度か御一緒させていただいた。

健康ランドの少ないお客さんに対し、突然立ち上がった先生。
何をするのかと思ったら、マイクを持って客席に下り一人一人に修羅場を語り込み始めた。
晩年の代表作となった「妖怪修羅場」だ。
突然妖怪の名前を間近で連呼されおののく観客。
先生はどんどん先に歩いて行くがマイクのコードが短くビヨーンと引き戻される。
それでもコードを引きちぎらんばかりに突進する。
当時70代半ばだろう。
その執念の語りに驚いた。
そして笑った。
でも先生はマジなのだ。

同じく健康ランドで先生が時間になっても来ないことがあった。
司会で入っていた私が落語でつなぐ。
そのあと何事もなかったように堂々と高座に上がった先生。
「曲馬団の女」をじっくり聴かせてもらった。

千葉の場末のライブハウス。
お客さんは少ないし控え室もない。
大御所の一鶴先生をこんなところに呼ぶなよと私は心の中で憤っていたが、先生は何も気にせずいつも通りの大熱演、御馴染み「東京オリンピック」だった。
すごい人だと思った。
帰りの電車内でいろいろなお話を伺った。
家元との若き日の思い出話や数々の代表作の話、新作の構想等。
今思い返すと全て芸の話だった気がする。


なんか一鶴先生らしいお別れ会でした。
とてもいい会だったと思う。

写真は参列者に配布された一鶴先生のDVD。
いい顔!