立川志ら玉の現場主義日記

-志ら玉ブログ- 落語家・立川志ら玉の何も事件が起こらない日々

正月の歌舞伎

正月の歌舞伎は華やかだ。
東京では歌舞伎座新橋演舞場国立劇場、浅草公会堂で行われ盛り上がっている。
正月の寄席と同じ。まぁ寄席は残念ながら二之席くらいから段々寂しくなってくるが…。
素人時代、初席は混むし持ち時間も短いので二之席によく行っていた。
正月気分を残しつつなんか季節はずれっぽく、そしてちょっと寂しげな客席の雰囲気が好きだった。


本題に戻す。
某日、新橋演舞場にて「初春花形歌舞伎」昼の部観劇。

「寿曽我対面」
正月お馴染みの曽我物。
猿之助一門と獅童の組み合わせ。
曽我五郎の獅童、情熱は伝わるのだが歌舞伎として何か違和感が。
型がしっかりしていないからか。
「型」がしっかりしていれば工夫が「型破り」になり、そうでないと単なる「型なし」になる、という何かで読んだ言葉を思い出す。
落語も一緒だ。
体に染み込んだ基礎と経験の重要性を思う。

「黒塚」
鬼女・右近と強力・猿弥の息の合ったスピーディーな立ち回りが圧巻。
普段コミカルな役回りの多いぽっちゃり型の猿弥が、ぴょんぴょん飛び跳ねたり側転したりここまで動けるとは!
役者の身体能力の高さに驚く。

「春興鏡獅子」
海老蔵、後半獅子の精はまぁ良いが前半の女形がどうも私は…。
骨格から男だし、肉食男子の見本みたいな海老蔵女方やってるだけで笑っちゃうんだよなぁ。
先入観かしら。
女性目線でみたらまた違うのか?


老女が後半実は鬼という踊りの「黒塚」と、若い女に後半獅子の精が乗り移る踊りの「鏡獅子」。
落語でいうところのネタがついてないか。
なんか同じような構成の話見たと思ったよ。
海老蔵十役早替りと宙乗りの夜の部「伊達の十役」がメインなのはよーくわかるが、もうちょっと昼の狂言と配役工夫して欲しかった。